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海岸の貝殻拾い持ち帰りが違法?どこまでがOK?日本・海外の諸事情

 

現在は海岸に打ち上げられた漂流物の貝殻やシーグラスを拾い持ち帰って収集することをビーチコーミング(beachcombing)という洒落たネーミングで呼ばれています。

 

※beach(ビーチ)海岸でcombing(櫛「くし」でとく)という意味合い

 

今までは貝殻拾い持ち帰りを個人でして趣味としていた方が多かったのですが昨今は副業ブームでメルカリなどで海岸で拾った貝殻やシーグラスを販売している多くの人達がいます。

 

そしてヤフオクやメルカリなどで販売されている海岸で拾った貝殻やシーグラスはインテリアのパーツとして購入されて利用されています。

 

副業をしたいので海に行ってタダで貝殻を拾えばいいというものではありません。

ビーチコーミングはどこの海岸でも収集してよいかといえば、そうでもありません。

 

日本国内や海外でも貝殻を持ち帰ることを禁止している場所というものがあります。

 

そこにはちゃんとした公園法という法律が施行されていますのでうっかり持ち帰ることのないように気をつけましょう。

 

ただこの法律にもグレーゾーンがあり子供たちが貝遊びで持ち帰る程度であれば問題ないという人もあり解釈は様々です。

 

ただ注意しなkればならないのは各自治体で施行している厳しい条例などもあります。

 

実際にTVで人気の大泉洋も「水曜どうでしょう」で鳥取砂丘で駐車場にあった砂を視聴者プレゼントで持ち帰り厳重注意を受けています。

※最後に番外編の項目「番外編:TV番組で大泉洋が鳥取砂丘の砂を採取して厳重注意されて返却」で載せています。

 

 

 

海岸の貝殻拾い持ち帰りが違法になる日本の2つの法律

 

海岸の貝殻拾い持ち帰りが違法になる主な2つの法律

 

まずは認識してもらいたいのは基本全ての海岸は国有財産。

※瀬戸内海での個人所有の小島だとしても日本の法律では「春分及び秋分の満潮時において海面下に没する土地については、私人の所有権は認められない」とされています。つまり海岸線は個人所有の範囲ではないので日本ではプライベートビーチはないとも言えます。

 

海岸の管理を管轄しているのは国土交通省そして各自治体の土木課などとなります。

また環境の立場では環境省そして各自治体の環境課・水産課なども対象になります。

 

更に日本には海岸法と公園法という2つの法律があります。

 

  1. 海岸法
  2. 自然公園法

 

 

1つ目の「海岸法」は

海岸の保全を目的とした法律で許可なく砂や石などを許可なく採取してはいかないという法律です。
具体的な法律の内容は

○海岸保全区域における行為の制限(法第8条等)

海岸保全区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、海岸管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める行為については、この限りでない。

一 土石(砂を含む。)を採取すること。
二 水面又は公共海岸の土地以外の土地において、他の施設等を新設し、又は改築すること。
三 土地の掘削、盛土、切土その他政令で定める行為をすること

出典:e-Govポータル「海岸法」

2つ目の「自然公園法」は

国立自然公園の敷地内における法律で自然公園内の土砂も含み動植物などの持ち出しを禁止している法律です。

 

自然公園内では一切の持ち出しは禁止と覚えておくのが良いでしょう。

具体的な内容は

 

第四節 保護及び利用(特別地域)
第二十条

(中略)
3 特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為又は第三号に掲げる行為で森林の整備及び保全を図るために行うものは、この限りでない。

出典:e-Govポータル「自然公園法」

詳しくは下記の記事をご覧ください。↓

 

環境保全のために砂や動植物などの採取を禁止している海岸には大体において必ず注意勧告の看板が目立つ場所に設置されています。

 

多くは国立公園などの自然保護区指定の場所になります。

 

必ず海岸で貝殻拾い持ち帰りをしたい場合は周囲の看板等を確認しましょう。

 

 

更に国ではなく各自治体の県や市の条例で細かく管理されている海岸もありますので注意が必要です。

 

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日本国内の海岸の貝殻持ち出し禁止の法律や実例

 

貝殻 持ち帰り  沖縄

 

一番厳しく海岸を取り締まっているの環境保全に力を入れている南国の島々です。

 

沖縄諸島にある白い砂の元は死んだサンゴが波に洗われて粒上になったものなのです。
星の砂なども有名ですね。

 

実は沖縄では生きているサンゴも更に死んで白色化したサンゴも採取することは禁じられています。

 

この規制については沖縄県の土木課でなく漁業関連の沖縄県漁業調整規則にて施行されています。

 

2造礁サンゴ類の採捕等の禁止

採捕とは、自然状態にある水産動植物(死骸も含む。)を採取・捕獲する行為をいいます(養殖されているものを収穫するなどの行為は含まれません。)。沖縄県漁業調整規則(以下、「規則」という。)では、下記の事項は禁止されています。

 

2.折れて海域に落ちているもので(生死は問いません。)、原形をとどめているもの(砂状、れき状、石状等の死サンゴは、除きます。)も採捕禁止です。

3.サンゴの死骸(骨格)も採捕禁止です。

引用:沖縄県農林水産部水産課「造礁サンゴ類の採捕等は禁止されています。」

 

但し貝殻については具体的に規制しているようなことはありません。

 

沖縄や奄美大島そして小笠原島などは自然公園法が施行されていますので原則は持ち帰りは禁止です。

 

ただし実際に県などに問い合わせした方への返答では

 

  • 環境を損ねるほど採取しない
  • 個人の趣味の範囲

 

であれば問題ないと返答を頂いているようでもあります。

 

営業や利益目的で大量に採取したとなれば罰則の対象になりますね。
副業で貝殻などを販売目的で採取する場合はまずいかもしれません。

 

海岸での採取で罰則を受けた実例

 

貝殻を採取して罰則を受けた例はありませんでしたがサンゴを持ち帰り罰金刑になった事件は存在しました。

 

吉野熊野国立公園内の海岸で石サンゴを持ち帰り罰則10万円

個人が死んだサンゴ773個を採取した事件。本人は土砂でなくサンゴなので自然法の土砂にあたらないと反論していましたが棄却。

参照:漂趨物学会:海岸での採取行為とわが国の法制度

 

沖縄との逆パターンですね。

自分用として取ったといいますが773個というのは取り過ぎで多分転売目的だったのかもしれません。

 

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海外の海での貝殻持ち出しの法律

 

海外 貝殻 持ち帰り

 

結論からですが
日本への海外の砂や貝殻の持ち込みはできない。(※。販売されて購入したお土産は別)

 

日本国内と違って様々な法律が施行されています。

 

中には現地でなければわからないような条例などもありますので

基本は海外での貝殻や砂などは拾わない持ち出さないようにすることが安全です。

 

 

  • 太平洋諸島では砂の持ち帰りは禁止。重い懲罰3ヶ月の禁固刑もある。
  • ハワイの国立公園の石を持ち帰ることは連邦法に違反
  • ハワイの海岸から砂を持ち出すことは州法に違反
  • 日本へ土砂の持ち込みは「動物・植物検疫」で禁止されています。

 

 

 

日本によからぬ外来種の種子や菌などを持ちこまないためにも

海外での貝殻持ち帰りはしないことが一番です。

 

まとめ

 

 

 

私の個人的な意見としては

 

日本の海岸線は多くが国立公園や観光地になっているとろこも多いので基本は勝手に貝殻や砂などの持ち帰りはしない方がよいと思います。

 

  1. 観光地など国立公園や県立公園内の海岸では貝殻や砂などの採取はしない
  2. 不明瞭な場合は自治体の土木課環境課などに問い合わせをする
  3. 自然公園以外の普通の海岸で子どもが遊びの少量の貝殻拾いであればOK。
  4. 貝殻拾い持ち帰りで転売目的はNG

 

 

個人的には海岸で子供が貝殻広いをする程度であればいいとは思いますが各自治体の行政の管轄によっては沖縄の様に厳重に取り締まっているところもありますので勝手な判断はしない方がよいかと思います。

 

どうしても欲しい方は県や市に問い合わせて正式に確認して許可を取りつけてからの方が安心ですね。

 

海岸に打ち上げられているのもは全てゴミだと認識して勝手に綺麗だとかで持ち帰ってしまう行為の是非は難しいところです。※所有権というものがある場合もあります。

 

数個の貝殻やシーグラスを拾って子供の夏休みの教材にするなど位の採取は問題ないのでしょう。

 

流木やゴミなども一緒に拾って清掃活動の一環も兼ねての収集ならいざ知らず販売目的で大量採取となると微妙なところです。

 

実際に行政がボランティアの方を集めて海岸清掃などもしていますのでなんともいえないと思います。

 

一番の不安解消の方法は貝殻を採取したい海岸の所属している県や市の土木課や環境課などに電話やネットで問い合わせをしてみるのが一番です。

 

追記として

 

漂流物学会の方が展示会を催すために実際に鹿児島県環境生活部環境保護課に国立公園内の海岸の漂流物採取について問い合わせしした方の内容です。

 

結論は個人的な少量の採取については違法に該当しないとの見解だったそうです。

 

自然公園法施行規則12条19に定められている「土地の形状を変更するおそれのない範囲内で,鉱物を採掘し,又は土石を採取すること」に該当するとのこと

 

自然公園に指定されていない海岸は海岸法の範囲になるが、土砂の許可をとる程の量でなく個人が少し持ち帰る場合は許可が必要ないとのこと

 

 

許可が必要な採取瞳の般小値が具体的に定められているわけではなく,どの程度の髄であれば許可が必要なのかはケースバイケースだという.筆者のケースは,海岸法上の土石の採取に骸当しないということであった.

引用:漂趨物学会:海岸での採取行為とわが国の法制度

 

結局は採取の具体的な量などの決まりもなくグレーゾーンで常識の範疇でということでしょう。

 

また採取可能な量などを決めてしまうと誰もが採取してしまうので、個人だとしても販売目的で採取する方が増えたり歯止めが効かなくなる為に基本は採取はダメということになっているようにも思えました。

 

番外編:TV番組で大泉洋が鳥取砂丘の砂を採取して厳重注意されて返却

 

あの有名俳優の大泉洋が番組の指示だとしても注意勧告を受けて海岸の砂を返却しています。

 

法律違反となったのは自然公園法に反した行為「海岸の土砂を採取した」こと

 

水曜どうでしょう」の「原付西日本制覇 第1夜」で鳥取砂丘を訪れたメンバーが砂丘の砂を採取して持ち帰り北海道テレビ放送が後から公式にHPにて謝罪しました

 

内容としては

2000年4月鳥取砂丘で大泉洋さんらがレストハウスの駐車場に飛び散った鳥取砂丘の砂を20キロを視聴者プレゼント用として袋に積みこんで持ち去る。

 

番組スタッフは「砂丘で取ったわけでないので問題ない」と思ったと言ってますが自然公園法なんてしらなかったのでしょう。

 

番組の悪乗りで指示したのかもしれませんね。

 

 

北海道テレビ放送は番組公式ページに掲載したお詫びの中で「番組ディレクターには法に抵触する認識がなかった」とした上で、「たいへんご迷惑をおかけしました」と謝罪。どうやら番組ディレクターは鳥取砂丘近くのレストハウス周辺に飛び散った砂を採取したため、問題はないと判断していた

引用:北海道新聞

 

このように駐車場の砂だけでも問題になる場合もありますので自然公園では持ち帰らない方が無難です。

 

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