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塩ブリは歴史がある食べ物で信州や飛騨つまり長野や岐阜ではお正月の年越しには欠かせないもので現在でもその文化風習が引き継がれています。

 

岐阜や長野県以外の人には馴染みが無いですね。

 

普通は新巻きザケなど塩サケが有名ですが、長野や岐阜では塩ブリが重宝されています。

それも寒い時期年末年始に水揚げされる富山の寒ブリに限ります。

 

では何故寒ブリの塩ブリが文化になったのか、そして具体的な製造方法や食べ方までご紹介します。

 

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塩ブリ一本の作り方と製法方法

 

 

伝統の作り方は

 

  1. ブリの内臓を取り除く
  2. 背中に切り込みを入れる
  3. 腹と切り込みに塩をすり込む
  4. ムシロをかけて熟成させる

 

これは江戸時代など昔はブリを富山からブリの内臓を捌いて塩を詰めて麦わらに包んで運んだことが始まりですね。

 

今でも同じような製法で行っているのが日本海側の西日本の福井県の美浜地区の神事に使われる塩ブリでしょう。

 

関東では「サケ」が“栄る”を意味し縁起の良い魚とされておりますが当地域では「ブリ」が出世魚として重宝されてきました。

日向地区の毎年正月に執り行われる神事(「板の上の儀」)では、その年に獲れた一番大きいブリのはらわたを取り除いた後、塩をすり込みコモに巻き2週間寒風にさらします。塩蔵熟成されたブリは「塩熟ぶり」として参会者に配られます。

「美浜町:塩蔵熟成の「塩熟ぶり」」より引用

 

美浜町の「塩熟ぶり」を東京日本橋にのアンテナショップ型居酒屋「熟成魚場 福井県美浜町 日本橋本店」で大評判だったそうです↓

 

 

現在の塩ブリの製法は富山県にあるカネツル砂子商店さんがブログに掲載しています。

 

①塩ブリの作り方前半(仕込み)

脂ののった寒ブリを内臓をとりこれでもかと塩漬けにしています。

 

②塩ブリの作り方後半(干す)

塩漬けにしたブリを4日間熟成させたのちに塩を払って天井から干します。

正に新巻きザケのブリ版ですね。

 

③塩ブリの製品化・完成

4日間寒風にさらして熟成した塩ブリを半身にして切り身にして完成です。

 

やはり日数的にはブリ街道を背負子の人が担いで届けた日数と同じくらいなのではないでしょうか。

 

見事な色合い風合いで食べたくなります。

 

2切れで1000円!

 

その他の塩ブリの購入先の記事はこちら

 

熟成塩ブリの歴史の成り立ちから風習(習慣)まで解説

 

 

塩ブリが食べられていたのは海が無い長野県や岐阜県でした。

 

昔から有名だった富山県の天然ブリ

富山から長野県まで山を超えて魚を届けるブリ街道というものがあります。

 

当時は車も何もない時代ですから日持ちをさせるためにブリの内臓を取り出して塩をまぶして藁で多い歩荷(ボッカ)たちが背中にしょって運んだそうです。

 

その歴史は古く戦国時代の前田利家が存命している時代からのものだったそうです。

 

加賀の前田利家公が京在住の折、氷見の塩ブリを送るよう命じたといわれ、その当時から「氷見の寒ブリ」が有名だったことがうかがえます。

富山と飛騨を結ぶ道(現在の国道41号線)に「ブリ街道」の異称がつき、また飛騨を経て北アルプスを越えて信州に入る塩ブリは「飛騨ブリ」と呼ばれ、信州松本地域の人々の暮れの食卓をにぎわしました。

「伝統の「年取り魚」新巻ザケと塩ブリ」 より引用

https://www.maruichi.com/delicious/file/post-25.php

 

富山県ではありませんが、今でも福井県美浜地区では作られているようです。

多分このような感じだったのでしょう。

 

 

 

 

大晦日から年越にかけてお祝いとして、ブリは出世魚だということもあり年寄り魚と呼ばれて食べられていました。

 

山超えて飛騨や信州に運ばれた塩ブリは越中富山でのブリの相場の4倍以上の高額な価格で信州では「鰤1本米1俵」といわれるほど高価になってしまいました。

 

 

当時から特に海が近くにない長野県では高級品だったのです。

 

長野県の松本などに運ばれて到着したころにには熟成して新鮮なブリよりも美味しくなっているというものでした。

 

新潟産のサケや富山などの漁場で捕れたブリは、現地で塩蔵加工され、信州や飛騨地方など、海から遠い内陸の地へ運ばれました。

塩漬けほどに塩辛くない伝統の塩加減は絶妙で、製造・輸送・保存の間に魚のタンパク質が熟成発酵し、サケやブリのうま味が凝縮されます。

「伝統の「年取り魚」新巻ザケと塩ブリ」 より引用

https://www.maruichi.com/delicious/file/post-25.php

 

所さんが唸ったほどですから、普段食べている塩鮭とは全く違った風合いなのでしょう。

現在は交通網も発達してブリも新鮮なものが刺身で食べられるようになって塩ブリを食べる習慣がなくなったきたそうです。

 

もちろんブリを運ぶ背負子の人たちも存在しなくなりましたので、その文化は消滅してしまいました。

 

金沢大学准教授の林紀代美博士が発表した論文「飛騨地域におけるブリ・サケ消費と年取魚ブリへの認識」には海のない飛騨における塩ブリ・年取り魚についてとても詳しく調査されています。

 

この論文を読む限り本当に飛騨には塩ブリを年明けに食べる風習文化が消えることなく脈々と続いているのがよくわかりますね。

 

 

 

塩ブリの相場

 

 

塩ブリの原料は原則は富山県で寒い時期つまり冬に水揚げされた脂ののった天然の寒ブリです。

 

中には1部に養殖ブリを原料にして塩ブリを製造してる業者もいるようです。

 

塩ブリの相場はその年によって水揚げ量によって浜値が違うので一概にいくらとは言えませんが、相当高価なことは間違いありませんね。

 

塩ブリ1本の相場

 

1本1万円から数万円までになります。

 

1本の重さや脂の乗りなどによって様々です。

 

なかなか1本で購入する人もいなく今では数万円だすならカニの方がよいという志向も増えてきているということです。

 

 

塩ブリ1切れの相場

 

 

1切れの相場も浜値に準ずるので一概にいくらとは言えません。

ただ概ね1切れ500~1000円が相場のようです。

 

2切れで2000円という感じでしょうか.

 

高いですね。

 

飛騨や信州の人も日頃から塩ブリを食べているというよりお祝いとして1年に1回年始に食べるという感じなのでしょう。

 

実際塩ブリを製造販売するのも年末年始だけに限られます。

 

汐ブリの購入先・販売先は下記の記事で紹介してます。

 

塩ブリの食べ方

 

 

  1. 焼き魚
  2. お茶着け
  3. レアで薄くスライス
  4. ぶり大根

 

 

オーソドックな食べ方は焼いて食べるのが一番でしょう。

 

次にはお茶着けなども美味しくいただけますね。

 

オシャレな食べ方としては生ハムの様に薄くスライスしてレアでサラダにクッキーに添えたりしてお酒のおつまみにもいいそうです。

 

また照り焼きや半身や1本で購入した方は骨や粗を使ってブリ大根にしたりまします。

 

TVで放映されていた富山の氷見の料理屋ではぶり大根には粗や骨だけをいれて数時間に煮込んで出していました。

 

 

【汐ブリの購入先】

 

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